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ビン詰めジャムの加工で考える

豊橋有機農業の会・生産者であり会長の松沢さんが運営する福津農園。
こちらで加工・販売をしたスモモジャムに「カビが生えた」と消費者の方からご指摘をいただいた際に、一つの契機としてまとめた文章です。
加工食品に対しての知識の提供になればと思い、掲載をいたしました。
ご参考になれば幸いです。
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ビン詰めスモモジャムにカビ
 ー事故を機にビン詰め加工食品のリスクを考えるー
福津農園では無数の生き物と共存する農環境の中で農作物を生産し、食べる暮らしをしております。
作物にとって、人類にとって、都合の良いものも悪いものもこの世の中にある(いる)のが当たり前と思っております。
人のインフルエンザも鳥インフルエンザも、人や鳥が居る限り共存すべき運命共同体です。
ただ、著しい不利益を被らないように共存する仕方があり、人の健康法や農法というものを人類は工夫し共存して来たはずです。
それを人間の一方的な都合により、開放系で広域に存在する相手を排除する反自然的手段を用いると、生態系や自然環境への悪影響を介して最終的にインフルエンザの害悪以上の弊害をもたらします。
近代化農業はそんな事例を累累と積み上げ食の不安を増大し、生物多様性など自然環境を破壊しました。
その反省に立脚し、有機農業を実践する中で、病害虫草を徹底排除するこれまでの農法を見限り、病害虫草と共存しながら農業生産を持続させる「共存の論理に基く農」を工夫実践中です。
害虫・益虫・ただの虫も共存を許容し、病気に負けない健康な生育環境作りに工夫を凝らして、雑草と協働して土を耕し肥やす農が、安全でおいしい食べ物づくりの基本と考えています。
「論より証拠のモデル農園」創りに四半世紀をかけて来ました。
共存の論理に基く農の妥当性は証明できたと思っています。
この農は予想以上の農業経済力を発揮し、条件不利と言われる山間農業を楽しく、かつ消費者や一般市民にとっても魅力的なものとしてくれました。
誰にでもわかり易い「モデル農園」づくりの試みは、これも予想以上に順調で、2010年2月に環境保全型農業推進コンクールで農林水産大臣賞を受けるまでに社会的認知が進みました。
経済力と魅力向上の一つの仕掛けとして、加工品があります。
漬物は多数の微生物の共存、協働系です。乾物は微生物抑制系、ビン詰めは微生物排除系の技術です。
極めて限定的な空間であるビンの中の微生物を排除することで、おいしい食べ物を時間と空間と人間(じんかん)の制限を越えてより多くの人に食べてもらいたいと工夫された人智の賜です。
安全であるべき食品の本質を危うくする食品添加物に頼らなくてもよい優れものです。
しかし一つまちがえるとその悪影響は時間、空間、人間を越えて拡がることもあります。
この度のビン詰めのスモモジャムにカビが生えるという事故がその例です。
徹底した排除系に1個体でもその環境に適応できる微生物が残存し繁殖すると「食用不適の不良品」となります。
その危険(リスク)が0にはなりにくいビン詰め加工に敢えて百姓が取り組むには、自慢の農産物をより多くの人に無駄なく食べてもらいたいのと、付加価値を付けて長期間売るという農業経済上の2つの理由の他に、食品事故のリスクに対する以下の2点の見解があるからです。
”堙垤腓生じた場合 すぐ情報がフィードバック(返送)されてくるように、直売システムをとっていること。
 そのことで責任をもって不都合な事件に対処できる。
⊃∧系食材に普通に着生する微生物群はそれを常食とする人類にとって健康を損なうような種はきわめて稀であること。
稀な例として、輸入ピーナッツで検出されることの多いアフラトキシンという猛毒を作るカビや日本国内で散見される麦の赤カビ病菌などのカビがよく知られている。
いずれも発がん性が強いということで、食用に回らないようにする法規制やしくみを作って対処しています。
植物性食品素材に自然に着生している微生物群の一部を日本人は発酵と称して 味噌、醤油、酢、納豆、パン等々の食品加工に利用しています。
他の大部分の微生物群を食品を不味で利用できないものにする腐敗菌と総称しています。
人体や動物に取り付いたり(寄生)その身近にいて病気を起こす、病原性大腸菌群や赤痢菌、病原性ウィルス、サルモネラ菌類等々とはその存在様式や繁殖方法が異なります。
ちなみに「犬などの肉食系動物はウジが湧いたり、人間が腐敗臭として不快に感じるにおいを発する肉を食べても健康上支障を生じないようなしくみを持っている」という専門家の話を聞いて、はたと膝を打ったことがあります。
我家の番犬たちも与えた鶏をしばらく土をかぶせ、ウジと臭いが出るようになってからおいしそうに食べていることを思い出しました。
「動物系食材の入っていない食品に生えた微生物たちは、カビも含めて一般的に、食味を悪くすることはあっても人の健康を害することはまずあり得ない。」というのが 微生物に興味を抱き 微生物部門の部活動を始めた高校時代以降 微生物学を専攻し、それでメシを食って来た大学、サラリーマン時代、百姓になってからも、ずっと微生物の力を信じ活用して来た、もうじき50年になる経験からの結論です。
植物系加工食品を自家生産し、大切な顔の見える消費者に届ける決断をした根拠でもあります。
もちろん、カビや放線菌の中には抗生物質や発がんが疑われる生理活性物質を産生するものが多いという認識は常識として私にもありますが、人体に影響する量の毒物ができるほどに腐敗が進んだ物はまずいので食べないという感覚と常識も持っているつもりです。
この感覚と常識は普遍性があるからこそ、日本人は多種の生きた微生物を植物系食品と共に日常的に食べても問題無く生活できているのだと思います。
蛇足かと思いますが、食品の調理や加工の現場に食中毒リスクの高い病原菌を持ち込ませないようにしたり、保菌者が従業しない配慮は最優先していることを申し添えます。

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