究極のフェアトレード「有機朝市」

 おはようございます! 
 元気な挨拶が新鮮な野菜たちを間に飛び交う。毎週金曜日に立つ豊橋有機農業の会が主催する有機農産物の朝市「いのち つなぐ いちば」は活気に溢れている。市場に並ぶ農産物は出店農家が自ら育て、種、土、農法、出来具合、食べ方まで物語れるものばかりだ。
 軽ワゴン車などで来て、ハッチドアを開き、コンテナ入りの農産物を車の脇に並べれば 開店OK。客は会員外にも開放されている。大きな買い物籠や袋持参だ。卵容器などはリユースが当たり前になっている。意中の生産者の所を中心に1週間分買い込む。目も手も口も忙しい一時だ。ここでの会話は料理から子育て、家族関係、教育、環境、食、イベント情報等まで多彩だ。地域文化を肥やす。
 生産者は地域の風土を尊重しながら持続可能な農法で作物を育てる。顔の見える消費者の家庭事情や地域事情を勘案しながら作目や作付時期を決める。仲間の田畑や農の技の状況と市場全体での需給バランスも考える。
 特に借地借家で「生き方としての有機農業」の道を選んだ新規参入の若い百姓の生計を考えた価格付けにベテランの百姓は気を遣う。農の技や種も伝授する。年金百姓も低価格競争ではなく手間暇かけた楽しい農の工夫で自己実現を図る。
 消費者の歓声や子供達の満足そうな食事時の表情を思い出しながらの収穫や調整作業は、苦を楽に転じる。市場の終盤に生産者同士で物々交換するのも楽しみ。行き過ぎた拝金主義社会への、小さいけれど現実的で有効な一投石になればと思う。
 リピーターの多い消費者も同じだ。新参者には何かと声かけし買い物で応援する。大量に出荷されている旬の野菜の食べ方、効用を若いお母さんに伝授する。山野草やマイナーな地域の伝統野菜に関しては、その美味しさや料理方法まで出荷した百姓顔負けの説明ぶり。こうした市場に集う人相互の思いやりに満ちた言動が市場の魅力をさらに向上させている。
 生ものはトラブルが付きもの! カボチャを切ったら中からぞろっとウジ虫が出てまな板の上で跳ねた(カボチャ実蠅の幼虫)。外見ではわからない大根の中心部の傷み。こういったトラブルにも適確な情報を優しく生産者に返してくれ、事後の対処を可能にする。
 底流にあるのは「いのち つなぐ いちば」の仲間は素より、より多くの人が幸せになれる社会への願いであり、相互の信頼関係である。
 『現責任世代の「生産条件」の優劣より将来世代の「生存条件」の確保持続の選択』という脱原発社会実現に向けたドイツの倫理委員会提言を先取りする「農産物交易のしくみ」と言っても過言ではなかろう。有機朝市はすべての命の関係性を大切にする小さい有機循環農業に適している。豊橋市内で30年続けている実績で地域社会の信頼は厚い。
 有機朝市「いのち つなぐ いちば」は究極のフェアトレードである。
豊橋有機農業の会会長 福津農園 松沢

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